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波高1、2、6〜7cmで行った。要素浮体の試験は、浮体の短辺同士を接合した状態と長辺同士を接合した状態の2状態を想定して行った。接合は、それぞれの状態について、剛接合とピン接合を模擬した。浮体問の間隙は剛接合時6mm、ピン接合時2mm(計算では考慮していない)であり、各2個の接合治具を配した。波との出会い角は、短辺接合時0°、45°、長辺接合時45°、90°とし、波周期0.6〜1.2秒、波高は2?で試験を行った。係留は、いずれの試験も水平方向を拘束し、上下方向をフリーとした。
(3)計測
Fig.4に縦波中試験の主な計測項目と計測位置を示す。全体浮体の試験では、浮体上面25点の上下変位と約20箇所の歪を計測した。上下変位は、浮体上約3mの架台にプーリー付きポテンショメーターを置き、浮体との間を細いワイヤーで結ぶ事により計測した。歪は歪ゲージにより浮体上面の歪を計測した。要素浮体の試験は、上下変位14点と13箇所の歪を計測した。上下変位の計測には、レーザー式変位計を用いた。歪は全体浮体同様、浮体表面の歪みを計測した。また、接合部における6成分の拘束力をロードセルにより計測した。

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Fig.4 Arrangement of pick-ups.

5.結果
以下に水槽試験および数値計算の結果を対比して示す。ここでは、縦波中の応答についての結果を示す。
5.1全体浮体の応答
(1)弾性変位
Fig.5に浮体長手方向中心線上の上下振幅の分布を示す。図中λ∞無限水深を仮定した時の波長、Lは浮体長を表す。上下振幅は波振幅で無次元化して示している。波長が短い範囲では4節の応答が卓越し、波長が大になるに従い3次、2次の応答が顕著になってくる事がわかる。全体的に波上から波下にかけて応答は減少してゆくが、波下の端部近くで再び応答が増加する傾向がみられる。計算結果と実験結果は良い対応を示しており、本計算手法の有効性が確認できたと言える。実機設置水深に相当する水深(0.26m)における応答の計算値をFig.5中に破線で示す。λ∞/L=0.5程度までの比較的短波長における応答はさほど変わらないが、それ以上の長波長域では浅水域の応答が顕著に低減し、浅水影響が大きいことが予想される。
(2)曲げモーメント
Fig.6に、計算および計測された歪から求めた中心線上の曲げモーメントの分布を示す。計算結果と実験結果は良く対応している。変位の場合と同様、浅水での計算結果を破線で示す。浅水域の応答の最大値は、深水域と同等、もしくは若干高めの値を示す。また、浅水域では、波長が長くなり浅水影響が現れるに従い、波下側の応答が減少する事がわかる。
5.2接合時の応答
Fig.7、Fig.8に剛接合時およびピン接合時の上下振幅の分布を示す。剛接合時の応答は、接合治具の大きさが全体に対して小さいため、接合による影響は小さく、ほぼ一体としての応答を示す。これに対し、ピン接合時の応答は接合部において不連続な応答を示す。要素浮体は実機で100mの長さであるが、この程度の長さでも剛と見なす事は出来ず、弾性影響がある事がわかる。
6.まとめ
メガフロート技術研究組合の実海域実証実験用浮体(長300×幅60m)を対象にした水槽模型試験および弾性応答計算を行った。その結果、次の結論を得た。
1)直接法による数値計算結果は実験値と精度の良い対応を示し、本推算法の有効性が確認された。
2)本計算法は、ピン結合等の接合条件を容易に考慮する事ができ、洋上接合時の応答計算に適用できる。
3)対象とした浮体構造物では、変位応答、曲げモーメントの応答について浅水影響が顕著に現れる。
4)弾性変位の応答は、波上側が大きく、波下側に向かって減少するが、波下側浮体端部で再び増加する傾向を示す。
本研究の一部はメガフロート技術研究組合との共同研究として実施した。

 

 

 

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